【特集】“サブスク女子”が、初めて音質にこだわってみた
“サブカル女子”ならぬ“サブスク女子”。
最近、ハイレゾで高音質にこだわる音楽配信サービスがある一方で、ストリーミングで手軽に音楽を聴ける機会も増えてきています。特にファッションやコスメにもお金をかけない女子からすると、低価格の聴き放題サービスは非常に魅力的です。
※私もSp●tifyを愛用中です。
そんな中、ポニーキャニオンさんから1通の便りが。
「ポニーキャニオンの“サブスク女子”に、高音質の良さを伝えたいんです。」
なんと、ポニーキャニオンさんの若手女子社員が、贅沢にもJAZZフルートプレイヤーの酒井麻生代さんのレコーディング~MIX~マスタリング現場に立ち会ったとのこと。
折角なので、この機会にハイレゾも体験させてしまって、もうズブズブの高音質オタクにしてやろうという趣旨なのです。
ということでmoraスタッフ、ハイレゾ対応機器を片手にポニーキャニオンさんにお邪魔してきました!果たして“サブスク女子”に、高音質の魅力は伝わるのか…!?
★★まずはクイズ!聴き分けられますか?★★
ここに異なるマイキングで録音された、酒井麻生代さんの3種類の音源があります。
それぞれどの音源(①②③)が、どの場所(ABC)で録音されたものでしょうか?答えはページ下部にて!
<00:18~音源① 01:40~音源② 03:02~音源③>
★★“サブスク女子” プロフィール★★
坂本さん
ポニーキャニオン入社3年目。
中学から高校の6年間トランペットを吹いていた他、高校時代にアニソン歌手をやっていたことも!
音楽はもっぱらサブスク。
澤田さん
ポニーキャニオン入社2年目。
中学はバレーボール部、高校は競技スキー部で運動一筋の学生生活。
音楽はやっぱりサブスク。
──まずは、レコーディング~MIX~マスタリングを体験してみた感想から!
坂本さんは、トランペットやアニソンを通じてレコーディングとかの知識はあったんですか?
坂本: だいぶ前の話なので記憶が薄いんですけど…確かに、レコーディングに関する知識は若干ありました。ただアニソンといっても、本当にカラオケで歌っていただけなので(笑)。ディレクションとかの過程は、今回初めて見ました。
──澤田さんも、レコーディングの現場は初めてだったんですか?
澤田: 初めてでした。あまりインストの楽曲を聴いてこなかったのもあって、1個の楽器の音が、バラバラのチャンネルで入ってくるのが不思議な気持ちでしたね。
──アーティストとエンジニアの方のやり取りで、印象に残っているのは?
坂本: 抽象的な投げかけに対して対応していく過程が、すごいな~って思いました。「なんかもうちょっと生っぽくならないかな~」とか(笑)。
澤田: 「パパパーンってとこのさ~」とかにも的確に対応してて。
坂本: 特にマスタリングのとき、「広がってる感じ」とか、形容詞の表現が多くて難しそうだな~って思いました。細かい技術までは分からないけど…そういう注文に応えていく作業なんですね。
──歴がないとできないですよね。
澤田: マスタリングエンジニアの多田さんが、曲が変わったタイミングで「じゃあ次の曲、仕上がりどうしましょうか?」って聴いてて。そしたら「アコースティックでナチュラルな感じで!」って!
坂本: そうそう!
澤田: 「なーんのこっちゃ…」って感じでした(笑)。
──音の変化は感じましたか?
坂本: 正直、「言われてみれば、確かにそこはそう変わったかもなあ…」くらいです(笑)。
澤田: 「じゃあさっきのはナチュラルじゃなかったのか…」とか自問自答してました。
坂本: ラフMIXとマスタリングで、出来上がった音を聴き比べると全然違うんですけどね。マスタリングの行程でちょっといじる、とかだと、2つ並べられても分からないかな~(笑)。
でもアーティストさんがエンジニアさんにこだわる理由は分かりました。そのアーティストに詳しいエンジニアさんの方が、ニュアンスを汲み取れるんだなって。
“サブスク女子”の想うコト①: |
──さてそんなお二人のために、今日はいくつかハイレゾ対応機器をお持ちしました!(いそいそ)
ちなみにお二人は、普段どんなヘッドホンやイヤホンを使っていますか?
坂本: Beatsのイヤホンです。ハイレゾ対応かは分からないですね…。
1万円くらいだった気がします、結構出しました(笑)。薄いピンクのメタリックなデザインが可愛くて。
澤田: 普段はbluetooth対応のイヤホンを使っていて、会社にいるときはiPhone付属のイヤホンを使ってます。
──それでは早速試してみましょうか!まずは茶楽音人(サラウンド)というメーカーの、比較的手に入りやすい価格帯のイヤホンです。
澤田: プレイヤーの音量を変えていないのに、音量があがった気がします。やっぱりiPhone付属のイヤホンは隙間が多いから、雑音とか入っちゃうんですかね。
坂本: なんだか、パキッとしているように聴こえました。
──では続いてはこちらの赤いイヤホンで。SONYのh.ear inというブランドです。
澤田: 重低音が…すごい…。ベースが厚い…。
見た目も音もイケイケな感じですね(笑)。バスドラとベースがどんどんいっていて、クラブっぽいイメージです。
坂本: こっちの方が好きかも!バランスが良く聴こえました。
響きも、元々聴いていたやつに近いのかも。
──続いてはradiusのイヤホンです。いかがですか?
澤田: カラッというか、ファサッとしている音のイメージです。
──ファサッ!?
澤田: 1つ目の茶楽音人のイヤホンと対照的な音質でした。
坂本: 私、左右で耳の形が違うみたいで、イヤホンってどれも形が合わないんですけど、これはめっちゃピッタリはまります!一番密閉されていて、深い音も聴きやすいです。でも全体的にボヤっとしている気がしました。
──形とかも重要ですよね。
SONYのハイレゾ対応のスピーカーもあるので、聴いてみましょうか!これはエクストラベース機能があって、ボタンを押すと重低音が強くなります。
澤田: ボタンを押す前はちょっと籠っている音に聴こえたんですけど、
坂本: マイルドな音でしたよね、でもボタンを押すと、
坂本・澤田: シャーッって感じ!
澤田: クリアになったよね。
──それでは最後に、SONYの高級ヘッドホンです。
坂本: じょ、上品なまとまりがあります!
──お上品な!
坂本: 音のまとまりが!とてもお上品です!1個1個のパーツが、綺麗にまとまっています。
澤田:お上品の意味、分かります(笑)!1番好きな距離感だなと思いました。近すぎず、遠すぎず。
スピーカーほど空間が広がっていなくて、ちょうどいいなぁと。
──どれか気に入った機器はありましたか?
坂本: うーん…。
澤田: そうですね…。
──例えば、「あげるよ!」って言われたら?
坂本・澤田: それは…(高級ヘッドホンを横眼でチラリ)。
“サブスク女子”の想うコト②: |
──音にこだわるって面白いですよね!
澤田: 通勤・通学のときに電車の中で聴くなら、周りのノイズがたくさんあるので、音にこだわった方がちゃんと聴こえるのかなと思います。
でも音にこだわってたら、電車の中で聴くのはもったいないんですけどね(笑)。
──正直、女性の中にまだハイレゾって広まってないですよね。
澤田: お金をかける優先順位が、音楽は高くないんですよね。
坂本: 高音質機器にこだわるよりも、ライブのような体験に投資してしまうんですよね。
実際に聴かせてもらうと、「こんなに違うんだ!」って分かるんですけど、それを体験する場がなくて。自分でいきなり買うのもハードル高いし…。
数千円とかで、レンタルプログラムとかあると良いかもしれないですね。
──現場も体験して、贅沢な企画でしたね!
坂本: 入社直後の研修期間にもレコーディング現場を見学したことはあったのですが、今回はある程度音楽配信の仕事をしたうえで見学したので、良い機会でした。
澤田: レコーディングでも、マスタリングでも、意見のぶつかり合いが面白かったです。「全然良かったと思うけどね~」と言う人がいたり、「なんかもっとこうしたい!」っていう人もいたり。
アーティストの想いがそこに詰まって、できているんだなって思いました。制作過程を見て、曲に対する思い入れに触れられたのが良かったなと思います。
“サブスク女子”の想うコト③: |
★★酒井麻生代さん リリース予定★★
今回“サブスク女子”が現場を体験した、JAZZフルートプレイヤー・酒井麻生代さん。ニューアルバム「展覧会の絵」を、7月18日(水)より配信開始!
クラシックのジャズアレンジアルバム第2弾で、クラシックファンとジャズファンが楽しめるアルバムになっています。
「展覧会の絵」
「前作はクラシックに近い感じだったので、今回はよりジャジーにしたいという思いがありました。でもジャズにアレンジすると、例えば音の切り方とかも原曲とは変わってくるんですね。原曲のメロディが体に染み込んでいるので、頭の切り替えがたいへんでした。だからクラシックというのを一旦脇に置いて、まったく違うものとして表現しようと思って吹きました」という彼女の言葉どおり、おなじみの楽曲が、まったく新しい感覚で生まれ変わっている。アレンジは前作に続いて納谷嘉彦が手がけている。
メンバーは、納谷嘉彦と俵山昌之が前作に続いての参加で、さらに日本を代表するトップ・ドラマーの大坂昌彦と、彼女のブラジリアン・セッションなどで共演しているギターの小畑和彦が新たに加わっている。
また今回は、フルートの“いい音色”“酒井麻生代ならではの音色”を表現するため、録音にもかなりこだわったという。192kHz24bitというハイレゾクオリティーという事もあり、「靴のヒールの高さが変わって、マイクと楽器との角度が変わるだけで音色が変わるんです。だからエンジニアの方と、かなり時間と手間をかけて、いい音を探していきました」
〔Jun. 2018 熊谷美広〕
レコーディング・ミキシングエンジニア:川崎義博
大学卒業後、1992年 株式会社ポニーキャニオン入社。
録音部に所属して、レコーディング、マスタリング、フィールドレコーディング、PA、MA等、様々な現場を経験して現在に至る。「料理の素材を大切に!」を信条とする。
日本プロ音楽録音賞受賞(2007年、2010年、2011年、2012年、2016年)
マスタリングエンジニア: 多田雄太
ポニーキャニオン所属、チーフマスタリングエンジニア。ジャズ、ロックからサントラ、アニメ、キッズ、お経まで幅広く手掛け、自身の作曲の経験を踏まえたクリエイティブなマスタリングが定評ある。
70年代80年代作品のハイレゾリマスタリングも手がける。女性ヴォーカルが好き。Mastered For iTunes認定エンジニア。
★★クイズの答え★★
①:B、②:C、③:Aでした!当たっていましたか?